「せいくん…会いたかった…」 「…やめて…離して…」 でも力は入らなくて振り解けない 「俺…もう…」 「僕の事嫌いになっちゃった？」 「…」 「あのメールきて何度も連絡したし家にも行ったけど会えなくて…なんかしちゃったのかなって…」 「だって…あの日…朝陽さんが電話出れなかった日…俺…仕事が近くであったから…見たんです…俺の知らない誰かと一緒に…幸せそうに歩いてたとこ…電話しても見なかったことにされて…滅多にして来ないメールしてきて…でも朝陽さんが幸せならって…思って…」 「…あの日…記念日だったでしょ？当日は一緒に過ごせないから日を改めて何か驚かせることしたくて。兄に協力してもらおうと相談しに行ってた。駅の近くに兄が管理してる店があるんだ。そこ評判がいいから使わせて欲しいって…電話に出なかったのは…ごめん…家族と過ごす時は電話に出ないようにって言われててそれで…その日は帰ったのが深夜になってしまったから連絡できなくて…」 「じゃあ…」 「僕は今でもせいくんのことが1番だし離れたくないって思ってる。せいくんが誰か好きな人ができたならって諦めようとしたけど諦められなくて…」 「…俺…」 「嫌な思いさせてごめんね…疑わせるようなことしちゃってごめんね…。 …ごめんね…。嫌いになってあげられなくて…。 ねぇ…まだ間に合うなら…もう一度…チャンスをくれませんか？ せいくんが好きです…離れたくないよ…」 抱き締める力を更に強くする…朝陽さんの鼓動が伝わって来る…啜り泣く声が側でする… 「朝陽さん…俺でいいんですか？俺思ったよりヤキモチ焼きで重いと思うし…また朝陽さんを疑ってしまうことだってあるかもしれない…仕事も不規則で中々一緒にもいられないし…それでも…それでも…いいですか？…」 「どんなせいくんでも僕は大好きだから…だから…」 「朝陽さん…俺は朝陽さんじゃないとダメみたいです…俺こんなに誰かを思う時が来るなんて…俺…俺も一緒にいたいです…朝陽さんと一緒に」 朝陽さんは抱きしめる力を緩めて俺に目線を合わせるために前へ回り込み屈む 「せいくん…好き…」 朝陽さんがくれたキスはしょっぱかった… お互い泣くのを落ち着かせ隅田の元へ向かう もう一度2人で手を取り合いながら… 報告をすると隅田に小突かれた。 「良かったね」 満面の笑みで返してくれた隅田に不覚にもまた涙を見せてしまうのであった。