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第116話

「いやいや…手は洗えよ…」 「だってもったいないじゃないですかぁぁぁぁ」 「宮部…ちょっとうるさい…」 「あ!すいません…つい嬉しすぎて…」 「ふふふ…瑛斗くんと彗斗くんが言ってた通りかわいいね」 「あほ…だけどな…」 そんな俺たちの声は聞こえていないのかニヤニヤ手を見つめる宮部を見て微笑んだ。 「あの…あの…もし良かったら家寄って行きませんか?」 本当はすぐに帰って朝陽さんと…って思ってたけど朝陽さんが目を輝かせていたので言えなかった 「行っていいの?」 「はい!ぜひ!ぜひ寄って下さい!」 宮部達の家は趣のある一軒家だった。 「元々ここは祖父の家なんですが今施設に入ってて空き家同然だったので住んで欲しいってことでここで生活してるんです」 「お前の爺さんって…」 「はい。政治家の宮部 衛です」 「実はいいトコの子だったんだな」 「至って普通の中流階級の家庭ですよ。たまたま祖父が政治家だっただけです」 「おかえり。愛斗…って誰?そのイケメン達…」 「ふふん…誰でしょう」 自分のことのように自慢気に宮部が放つ 「実は…片桐先輩とその恋人さんです」 「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」 「メッチャかっこいいよねぇ。やっぱ本物の相馬星夜さんは最高にかっこいい…」 「…相馬星夜…」 固まったまま動かない望月。そりゃそうだろう。振りとはいえ口説かれた相手なのだから 「実は先にファンになったの嶺なんです」 「そうなの?ありがとう」 「あ…あの…あの…えっと…」 しっかりしている望月が動揺している姿は可愛くていじめたくなる 「嶺…久しぶり…」 無駄に距離を詰めあの日にように耳元で囁くと真っ赤になり後ろへ飛び跳ねた 「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!ダメです!やめて下さい!」 後ずさる望月を追いかけようと一歩出た時だった。 「せいくん…何やってるの」 「…あ…つい…すいません」 表情を無にした朝陽さんに低い声で呼ばれ腕を抓られた

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