128 / 690

第128話

「このブランドだけ専属として復帰したらどうですか?」 「俺が辞めた理由知ってる?」 「なんとなくは聞いてますけど…」 事故に巻き込まれ消えない傷が出来たと聞いている 「ほら…結構目立つでしょ?」 腕と足に大きな傷が残っていた。メイクで誤魔化せるレベルではないと思う。それでもやっぱりこれは土門さんじゃないとダメだと思う。 「土門さん。彩芽さんご存じですか?」 「名前だけは。お会いすることもないまま引退してるし」 「この傷なければモデルできますよね?」 「まぁ…嫌いでやめた訳じゃないからね」 「彩芽さんならできるかも…今度会ってみませんか?」 土門さんは暫く考え頷いてくれた 数日後、彩芽さんはすぐに時間を作ってくれた 「天音ちゃーん!初めまして。彩芽です。やーっと会えたぁー!ずーっと会いたかったのよ」 「あ…どうも」 彩芽さんは前から土門さんと仕事がしたいと希望していたがなかなかうまくスケジュールが合わず会うことが叶わないままだったからとても喜んでやって来た。 「傷見せてくれる?」 仕事となると全く人が変わる。 「…そうね…任せて」 彩芽さんがメイクを始める。暫くしてみたそこはもうほとんどわからなかった。だからといって不自然な厚さはなく自然だった。 「ちょっとカメラテストさせて」 彩芽さんは撮影までこなせてしまう 「うん。これなら大丈夫そう。カメラマンは誰?出来れば蘇芳くんがいいけど。このブランド蘇芳くんだよね?」 「よく、わかりましたね」 「解るわよ…蘇芳くんとは前から知り合いだし。服作りたいって言ってたのも聞いてたし」 「そうなんですね。」 「だからずーっと交渉してたの。あなたと仕事させてって。専属カメラマンだったじゃない?なのにあのやろう…天音に変な病気が移るとかって言って会わせてくれなかったのよ。もう…でも会えて嬉しかったわ」

ともだちにシェアしよう!