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第129話
「で天音ちゃん。この仕事するの?」
「先輩と話してからにはなりますが」
「あいつなら大喜びね。…もしもーし。和海?わ、た、し。天音ちゃんは預かったわ。返して欲しければすぐにいらっしゃい」
目の前で脅迫紛いな電話をした彩芽さんは悪い顔をしていた。
「後10分ってとこかしら…天音ちゃん。今のうちに衣装着ていてくれる?」
「はい」
10分後…息を切らしてやってきた人。
カメラマンの蘇芳 和海だった
「和ちゃん流石ね。きっかり10分」
「彩…てめー…天音に何した?」
「ちょっと可愛がってあげてただけよ」
「天音はどこだ」
「先輩?お疲れ様です」
「天音…」
声を聞き振り返り土門さんの姿に息を飲んだ
「お前…傷は?」
今着ている衣装は装飾が施されている半袖のアシンメトリーシャツにシンプルなクロップドパンツ。腕も足も傷部分が見えてしまう着丈のもの。
でも彩芽さんのメイクのお陰で傷なんて目立っていない。
「彩芽さんにやってもらって」
「私の手にかかればお手のものよ。和が早く私を頼らないから天音ちゃんも引退しないといけなくなっちゃったじゃないのよ」
「だって天音可愛いからお前に会わせたくなかったから…」
「あのさぁ…いくらあたしでも人のものには手は出さないわよ。失礼ね。あの人達は勝手に私に寄って来ていただけよ。勝手に勘違いされてあんたに攻められるなんて屈辱だったわ。自分の見る目がなかっただけのくせに私のせいにばかりしてさぁ」
「だってお前、実際やることやってたじゃん」
「あたし来るもの拒まずだし。て言うか元々あたし目当てであんたに近づいた人たちばかりだったから凝らしめてやっただけよ。でも天音ちゃんはあの人たちと違ってあんたが本気で愛した人じゃない。そんな子にまで手なんて出さないわ」
勝手に繰り広げられる話に俺も土門さんもただ黙って聞いていた。
察するに土門さんと蘇芳さんは良い仲で彩芽さんと蘇芳さんは友人ってとこか…
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