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第142話
人気が全くないそこに足を踏み入れる。
静まり返ったそこで本当にここにいるのかと疑うほどだった
歩みを進める。左右には硝子の破片が飛び散り壁には落書きがありオフィスだったろう各部屋には倒れた机や椅子が積み上がっている。
一階、二階、と階段を上がる。最上階に来たとき何か気配がする。
呻き声が聞こえてきた。壊れた扉を開け奥に進むと一番奥のソファーの側に塊があった。
「朝陽さん?…」
そこにある塊はどう見ても人には見えなかったが声を掛けてみる
何も返ってこない…
更に歩みを進めると人影に見えてくる
柱に繋がれた細い腕が見える。
鼻をつく臭いに纏わり付かれながらその影へ近寄る。
そこにいたのはよく見知った姿とはかけ離れた姿があった。
周りには食べ物が散乱し、汚物が撒かれ、放たれたであろう多くの欲望が広がっていた。
その中にゴミ屑のように捨てられたような愛しい人が跪いていた。
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