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第143話
「朝陽さん!朝陽さん」
声が届かないのかこちらを見ることもなく俯いていた。
何度も何度も声を掛け抱き締めようとするが弱い力で触られたくないように身を捩る。
「朝陽さん。俺です。星夜です。朝陽さん」
「せ…い…く…ん…」
殆ど音になっていない言葉を聞き逃さなかった。
「朝陽さん!」
「…い…や…さわ…ら…な…い…で…」
堪らなくて強く抱き締める。折れそうな程細くなった体は小刻みに震えていた。
「だれ?」
急に別の声が聞こえた
「僕の朝陽に触らないで」
「お前誰だ」
「僕の朝陽は渡さない!!」
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