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第154話

朝陽side 「朝陽さん?…」 こんな所にいるはずのない人の声が聞こえる。とうとう幻聴まで聞こえるようになってしまったのか… 「朝陽さん!朝陽さん!」 本物だろうか…? でも夢かもしれない。 手が伸びて来る気配がする。こんな都合のいいことが現実で起こるわけはない。きっとあの男なんだ…そう思うと距離を少しでもとりたくて身を捩る 「朝陽さん。俺です。星夜です。朝陽さん」 「せ…い…く…ん…」 夢かもしれないが愛しい人の名前を呼んでみる。声は出ているのだろうか 「朝陽さん!」 きっとこれは都合のいい夢だ…あの男がせいくんの真似をしているんだ…騙されるな…騙されるな… 「…い…や…さわ…ら…な…い…で…」 そう言うときつく抱きしめられた。怖くて気持ち悪くて震えていた。すると今度は別の声が聞こえる。 「だれ?」 「僕の朝陽に触らないで」 「お前誰だ」 「僕の朝陽は渡さない!」 明らかに会話をしている。じゃあ…本物のせいくんが来てくれたのかな… やっとの思いで顔を上げると僕を背に庇う見慣れた愛しい人の背中が見える。その奥に対峙している人影が見えた。

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