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第160話
朝陽side
眠り続けて2週間。
今日もまだ起きる気配はない
「今日目覚めなければ…このまま目覚めないかもしれない」
悠紀さんが話す
「そんなの…だめ…せいくんを待っている人が沢山いるのに…」
目覚めないなんてだめだよ…
「せいくん」
何度も名前を呼ぶ。呼び始めてどのくらい経ったのだろう…
微かに瞼が動いた気がした。
「せいくん。戻って来て…」
すると微かに指先が動いた。そっと掌を包み込む
「せいくん」
祈るようにせいくんの手を強く握る。ゆっくり目が開いて行く
「せいくん!悠紀さんせいくんが!せいくん!」
視点が定まらないのか遠くを見つめている。寝起きの時のいつものせいくんだった
「せいくん…おはよ…」
目頭が熱くなる
「せいくん…良かった…」
そのあと悠紀さんや看護師の人たちが慌ただしく検査を始めた
自分の病室で待つ
長い時間待ち続けやっと部屋のドアをノックされた
「朝陽くん」
「はい」
「相馬くん長い間昏睡状態だったけど奇跡的にどこも異常は見られなかったよ。あとはリハビリ次第だね」
「良かった…」
我慢していた涙がボロボロ溢れる
「長い間眠っていたから声がまだうまくでないから会話は難しいかな…」
「わかりました。ありがとうございます」
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