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第163話

入院してもうすぐ半年が経とうとしていた。 思いの外早い回復で神楽坂先輩の父であり、担当医の悠紀先生が驚いていた。 やっと退院の許可は出たが引き続き朝陽さんと通院は続けることになる。 朝陽さんは家族が心配し現在は実家に戻っている。 俺もしばらくは実家に厄介になることになっていた。 大学への復学は夏休みが開けてからの予定だ。 退院の日。会見を開くことになっていた。 各方面に迷惑をかけてしまったので謝罪会見となる 体調のことを考慮し早めに切り上げられ帰路についた。 久し振りの実家には父がすでに帰宅していて今日の昼間も会ったはずなのに嬉しそうに俺の肩を叩く。 父は少々天然で毎度母にしかられていたがお互いをつなぐ絆が固いことはその雰囲気から感じられる。 この家が居辛いとか嫌だとかそんな気持ちは更々ない。ただ一人だと時間など気にしなくていいので楽故に独り暮らしを続けていたのだ。

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