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第176話

夕燈さんの作る料理は美味しい 夕燈さんは滅多に調理場には入らないらしいのだが今日は朝陽さんが来ているということで特別に料理をしてくれた 食事を終え談笑する。 「朝陽さん」 「ん?」 「今までありがとうございました」 「え…?」 「朝陽さんと出会えて本当に幸せでした…」 「せいくん?」 「俺、これから暫く海外に拠点を移します」 「そんなの聞いてないよ…」 戸惑う朝陽さんを見つめた。 「朝陽さん。暫く離れ離れになります。帰ってきてまだ俺のこと思ってくれていたなら俺と結婚してください」 「!…せいくん…」 そっと朝陽さんの手を取り指輪を薬指にはめた 「これはお守りです」 涙を浮かべる朝陽さんを抱きしめた。 自分のスキルアップのためには必要なことでずっと考えていた。もっとデザインについて学びたい。朝陽さんを置いていくのは心配でたまらない。けれどずっと一緒にいてもこれ以上は良くはならない。お互いのためにも一旦離れることも必要だと思い決断した。 「向こうに行ったらいつ戻れるかわかりません。もう待てないと思ったらそれ捨ててください。その時は素直に受け入れますから…」 「何でそんなこと言うの?」 「朝陽さんが1番幸せになって欲しい。そのために俺が足枷になるのならそんなの嬉しくない」 「僕はせいくんがいるから生きていけるんだよ。何年だって何十年だって待てる」 「ありがとうございます。朝陽さん…愛してます…」 深くキスをする。 その日は2人で自宅に戻り朝まで愛し合った。 出発は最終便。あまりにも唐突で朝陽さんには申し訳なかったが自分で決めたことだから。 まだ眠る朝陽さんにキスをし部屋を出る。 朝陽さん。行ってきます

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