178 / 690
第178話
朝陽side
「また来てもいいですか?」
「えぇ。いつでもどうぞ」
「ありがとうございます」
「まさかあの朝陽くんがこんなに立派になっているとはね」
バーのマスターは父の古くからの友人だった。
話に何度か聞いていた通りの人だった
「ぼちぼち帰ろうか。送るよ」
「大丈夫ですよ」
「だめ。朝陽くん自分から出てる色気気付かなすぎ。星夜がいないから君は今狙われやすくなっているんだから1人になってはダメ」
「でも…」
「絶対ダメ。特にお酒が入っている時はダメ」
「先輩の言うこと聞けない?」
「いえ…ありがとうございます」
確かに声をかけられることは増えていた。その全てが僕を狙ってと言うことは考えられないが以前のこともあるため十分に気をつけるに越したことはない
2人に甘え送ってもらう。
「送っていただきありがとうございます。良かったら上がって行きませんか」
「いや。これから天音と自宅でいろいろやるから…また今度な」
「ちょっと…蘇芳さん…何言ってるんですか…」
真っ赤になる土門さんが可愛くて思わず笑みが溢れた
「天音。何想像してるの」
悪い笑みを浮かべる蘇芳さんにただ俯いていた
そんな2人に挨拶をしエントランスへ向かう。入り口に蹲る人がいた。
関わらないようにと気付かないフリをして中に入ろうとすると呼び止められた
「朝陽…」
弱々しい聞き覚えのある声に足を止める
「十夜。どうしたの?」
そこには今までに見たこともないほどに窶れた十夜がいた
「上がって」
無言で後を着いてきた
ともだちにシェアしよう!