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第198話

彩芽さんとお酒を酌み交わし夜が更けていく 彩芽さんはかなりお酒に強く全く表情は変わらなかった 「どうなの?せいちゃん。次の恋見つける気になった?」 「いいえ。俺もう誰も特別にはならないと思います。何だかんだ言ってもやっぱり朝陽さんのこと好きだし…朝陽さん以上の人なんて見つからないんじゃないかな」 「まぁ思い続けるのはいいと思うわ。それでもしっかり立っていられるのなら。辛くなったら私が慰めてあげるわ」 「ありがと。彩芽さん」 不意に涙が零れた。 朝陽さんと神楽坂先輩の仲が時々テレビで報じられたりトーク番組で語られたり…それを見ていて…幸せそうな朝陽さんを見ていて…苦しくないはずはなかった。 あの日以来涙を流していなかったことに今更気付いた 「…本気で好きだったんです…朝陽さんが幸せそうに笑っていられればそれでいいって…隣に誰がいても良いって…ずっと思ってた…でも…本当は…隣には俺が立っていたかった…神楽坂先輩のこと尊敬してるし…好きだけど…でも…」 「せいちゃん…」 複雑そうに俺のことを見る彩芽さんの視線に気付かなかった 「今日はありがとうございました。また仕事で逢いましょうね」 「えぇ。またね」

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