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第202話
朝陽side
「あっ…んっ…十夜…気持ち…い…い…」
「俺も…気持ちいいよ…朝陽。好きだ…」
「あんっ…イッ…くっ…んあぁぁぁ…」
今日も十夜と抱き合う。
病院で十夜が目覚めてから毎日毎日…
十夜が目覚めた時にはもうせいくんはいなくて心底安堵していた。
せいくんの顔を見なければ罪悪感なんて感じなくて良い…
ただお互いがお互いの傷を舐め合うために体を何度も重ねた。
求めあい、慰めあった
美那に対する罪悪感も、出ていった汗や白濁と共に流れていく気がしていた
抱き合う度にお互い気持ちが安定し泣き叫ぶことも無くなり以前のように穏やかに過ごせるようになった。
悠紀さんも水琴さんも父も、そんな僕たちにもう何も言えなくてただ行われる情事を黙認するしかなかった。
退院した後もその関係は続いた。
そんな中僕はもう一度凛さんの事務所に席を置き復帰した。
最初は拒んだが凛さんは諦めなかった
せいくんはもう事務所にはいないしくるみさんもいないのでもう会うこともないかと考え戻ることを決意した。
せいくんが海外に行き約3年ほどだろうか?
せいくんが今、どこにいて何をしているのかもわからない。
まだ海外なのかもう帰国しているのか
でもどうでも良かった。僕には十夜がいる。
せいくんじゃなくても十夜といられれば幸せで僕の体はもうすっかり十夜の形になっていた。
せいくんの影は何も残っていない…
そう思っていた…
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