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第212話

朝陽side 「お久しぶりです」 「うん。元気だった?いつ戻ってたの?」 「二年ほど前です」 「そっか」 二年も前に戻っていたのに僕は何も知らなかった。 どんな思いでテレビに映る僕を見ていたのだろう? 何とも思っていなかった? 苦しかったりしなかった? 悲しくはなかった? 十夜を選んだこと怒ってない? 恨んでる?軽蔑してる? 聞きたいことは山程有るが口を噤む… 僕が問う資格なんてないのだから… 僕が裏切ったのだから… 僕が手を離したのだから… 「神楽坂先輩はお元気ですか?」 「うん」 「良かった」 とても綺麗な笑顔で十夜のことを聞いてくる。 やっぱり過去なんだ… そうだよね… 自分勝手な複雑な思いに無理矢理に蓋をしようと試みた 僕には十夜がいるのだから… 何も余計なことは考えるな…

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