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第221話
カイside
とても心配そうに…星夜が俺を見下ろしていた。そんな顔で見ないで…期待しちゃうから…
「カイ…」
「今日朝陽くんと…一緒だったよね?車の外に朝陽くんが見えたんだ…」
もう我慢が出来なかった…止めどなく涙が溢れる
「だ…か…らっ…俺…俺の役目は終わりなんだって…思って…
…車出す直前…朝陽くん…こっち見てた…朝陽くんは…まだ星夜のこと…あの顔を見たら…間違いないって…うっ…あ…」
星夜の瞳に迷いの色が浮かんだことを見逃さなかった…気付きたくなかった…
「朝陽さんにはもう神楽坂先輩がいる。俺のことなんて…あり得ない…」
星夜の強がり…そんなのわかるよ…何年見てきたと思ってるの…?
「だったら…あんな顔なんて…しない…星夜も朝陽くんもわかってない…」
わかってなんて欲しくない…でも…
「カイ…」
「ごめん。今だけ…今だけだから…今だけ…今だけ俺の物でいて?…明日には笑って背中押すから…だから…」
今だけわがまま言わせて…
「だから…朝陽さんには…」
そんなに辛そうに言わないで…
認めてるようなものだよ…
朝陽くんへの思いに…
本当は直ぐにでも朝陽くんのところに戻りたいって
…抱き締めたいって思っていることを…
これ以上自分に嘘をつかないで…
でも側にいて欲しいよ…行かないで欲しいよ
矛盾した感情が心を抉る…
…最後まで言わせないとばかりに唇を重ね舌を侵入させた。
最後だからゆっくり星夜のこと覚えていたい…
長く熱いキスだった
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