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第226話
十夜 side
部屋の中を見渡す元気もなかった
朝陽が出してくれた温かい飲み物をゆっくり飲む
体の中に温かさが広がっていき悴んだ指先に熱が戻る気がした
「電話してくれれば良かったのに。こんなに冷えて」
美那が死んだと聞き動揺した俺はスマホを滑り落としていた
たまたま橋の上で電話をとった為そのまま川に落としてしまい行方がわからなくなっていた
「連絡先わかんなくなっちゃって」
「何があったの?」
朝陽は近頃忙しくなってしまっていて連絡を出来なかった
「お前には話届いてないんだな。美那が死んだ」
「えっ…どういうこと?何で美那が」
驚くのも無理はない。来月には結婚式を控えいて先月美那と話していたのだから
美那に起こった出来事を話した
話す度現実に美那はいないと思い知らされた。
聞きながら苦しそうに朝陽が綺麗な顔を歪めていた
「取り敢えず今日は泊まっていきな」
短く返事をする。最後に人の温かさに触れたかったのだろう。素直に甘えることにした
朝陽は風呂を貸してくれ星夜が着ていただろう服を貸してくれた。
ベッドも貸してくれた
「朝陽…」
背を向けて部屋を後にしようとした朝陽の腕を掴んだ
今1人になりたくなくて思わず
「ここにいて」
そう言いベッドへ引き摺り込んだ。華奢な朝陽はすっぽり胸に収まった
疲れがたまっていたんだろうそのまま意識を手放していた
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