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第227話
十夜side
その日俺は夢を見ていた。
美那が柔らかい笑顔で俺を見ている
その姿が徐々に遠退き手を伸ばしても届かない
「美那…」
少し覚醒した俺は腕の中の温もりに安堵してギュッと抱きしめた。美那はここにいる…
美那はキスが好きだった
深く深くキスをする
「…美那…愛してる…」
舌を捩じ込み追い掛けた
次第に荒くなる息。もう離れないとばかりに体を強く抱きしめた
すると俺のキスに答えてくれた。嬉しくて…我慢ができなくて…そっと服に手を入れ弱い脇腹を撫でた
「…あぁ…んっ…十夜待って…あんっ…」
美那の様子がいつもと違う…
「あっ…十夜…」
その声に覚醒した俺の腕の中には朝陽がいた
「ん…朝陽…」
「十夜…おはよ…」
朝陽には星夜がいるのに寝ぼけていたとはいえ何やってるんだろう…
「…っ…悪い…俺…」
離れていこうとする俺を朝陽が抱きしめてきた
「朝陽…」
潤んだ瞳で俺を見つめる朝陽に息を飲んだ…
欲望が俺を支配していく。それを更に煽るように朝陽が紡いだ言葉に理性が崩壊した
美那を失った悲しみを少しの間だけでも忘れたくて本能のままに動いた
「ごめん…十夜…僕…感じちゃった…」
朝陽は飽きるほどに一緒にいた星夜と会えず今は連絡もできなくて寂しい思いをしている。
無意識に朝陽も人肌を求めていたのだろう
「…っ…ごめん朝陽…我慢できない…」
ベッドへ押し倒しキスをする
「朝陽が欲しい…」
俺は男なんて知らない…美那しか知らない…手探りの愛撫で感じる朝陽をどこまでも攻め立てた。
朝陽がこんなに感じやすいなんて…こんなに可愛く啼くなんて知らなかった…本能のまま抱き合い朝陽を抱き潰し一緒に意識を手放した…翌日とても後悔をすることになる
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