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第230話

十夜side 俺の前に光が広がる…やっと…美那にあって話が出来る…その光へ向かって手を伸ばす… 「十夜!良かった…やっと…目が覚めた…」 俺の前に飛び込んできたのは父の泣き腫らした顔だった 「な…ん…で…」 父は何も言わずに処置を始めた。 俺は叫んでいた 「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉ」 何で?何で?何でまだ生きているの?何で… もうどれだけ叫んだんだろう…再度意識を手放した 次に目が覚め最初に視界に飛び込んできたのは柔らかな笑顔を向けた朝陽だった 「朝陽…」 「十夜…おはよ…僕たち逝けなかったみたい…」 朝陽を抱き竦める 朝陽もそれを素直に受け入れた… 朝陽の顔を近付け唇を塞いだ…温もりを感じた… 「朝陽…繋がりたい…」 朝陽は満面の笑みで俺に跨がる。 「僕も繋がりたかった…」 その日から激しくお互いを求め合い受け止めたくない現実を少しずつ受け止めて行く。 毎日朝陽と繋がることで叫び出すことはなくなり長い期間は掛かったが退院した。 星夜は俺たちを心配してあの日から数日はここにいたらしい…でも叫ぶ朝陽を見ていられなくて向こうに戻ったらしかった。 星夜の姿が見えないことが俺たちが求め合うことに拍車がかかっていた 「朝陽…俺と生きてくれる?」 「うん…十夜といる…ずっと…ずっと側にいる…」 退院して一緒に住み始めた俺たちは飽きもせず毎日のように抱き合った。 朝陽は俳優業に復帰し俺も当初の目標からは随分と遅くなってしまったが医者になった。 俳優業は朝陽には合ってたようで日々忙しくしていた たまの休みには一緒に自宅で過ごし一日中抱き合っていた。 でも… 朝陽の表情は人形のようだと思っていた… 俺に好きだといってくれるが… きっとまだ朝陽の中の奥深くには本人は気付いていないが諦められない星夜への思いがある… わかっていたが朝陽を離してやることが出来なかった… もし星夜が次に朝陽の目に前に現れ朝陽が星夜を選ぶのならばその時は背中を押すと自分の中で決まっていた… でも… 何も気付かないフリをして朝陽を縛り付けた

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