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第231話
十夜side
今回の仕事は原作がとても好きだった作品のためとても楽しみにしていた
この台本をもらってから活き活きとしている朝陽は眩しかった。
撮影が始まり数回。たまたま休みになった俺は朝陽を現場まで送った。
家を出る前に朝陽を抱き、俺の感情を注いでいた。
車を降りる時には抱き寄せキスをした。
何故かわからないが胸がざわつく…
「朝陽。好きだよ…」
自分でも何故今これを伝えたかったのはわからなかった
撮影が終わり朝陽から連絡が入る。
迎えにいった時、朝陽は出ていった車をじっと見つめていた
どうしたんだろう…
「お疲れ様。朝陽…?どした?…」
朝陽は嘘をつく時頰に触れる癖がある。
頬に触れながら
「何でもないよ。少し疲れただけ」
そう言った
「相変わらず嘘が下手だな…」
明らかに何かあった表情をしているのに…
思いが言葉に出ていたらしい。
「え?」
朝陽が聞き返してきた
自宅に戻りいつもしているように抱きしめキスをしようとするのを拒まれた。
先に風呂に入ると言い浴室に向かう朝陽を見送る。
何があったんだろう…
朝陽は溜め込む癖があるのでどうにか話して欲しいと思った。
一時だが俺もそっち側にいたんだから何かしらアドバイスが出来るかもしれない…
でも…
仕事で煮詰まったからってあんな態度取るかな…?…それは考えられない…
もしかして星夜と会った?
星夜が帰国しているのかどうかもわからないけれど朝陽を乱せるのは星夜しかいないとその時確信していた
朝陽がいつもならとっくに風呂から上がっている時間に上がってこない。
心配になり浴室へ向かう
「朝陽、大丈夫?」
朝陽からの返事が聞こえ水音がしたかと思ったら次の瞬間大きな音がした。
驚いて扉を開けると朝陽が倒れていた
「朝陽!!??」
驚いて抱き上げベッドへ運んだ。顔色が悪い…心配でたまらない。
少し経つと唇の色は戻ってきて朝陽が薄く目を開けた。
少し会話をして今のところは大丈夫そうだった。
「…朝陽…やっぱ何かあったんだろ?」
「何もないよ…疲れただけだって言って…」
先を言わせたくなくて無理矢理唇を塞いだ
疲れただけでこんな切なそうな表情なんてする訳ない…
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