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第234話
カイside
星夜が奮える俺を包み込みキスをしてきた…
「カイ…」
切なそうに俺を見つめる。
「そんな目で見ないで…期待しちゃうじゃん…わかってるよ…ちゃんとわかってるから…朝陽くんに会いに行きなよ。そしてちゃんと話をして…もしものことがあれば俺がまた慰めてやるから」
そんな顔させたかったんじゃないよ。
大丈夫…俺は大丈夫…
…向かい合うことが怖くて…逃げて俺のとこにいたって星夜は幸せになれない…
星夜…気付いて…
星夜には笑っていてほしい…心から笑っていて欲しい…
「カイ…俺はどこも行かない…ここにいたい…」
「へ?…」
本当にそう思ってくれてる?それなら嬉しいよ…でも…違うよね…
ずっと星夜のこと見てきたんだからわかるよ…
星夜は真面目なんだから…俺を放っておけないんだよね…
「俺のこと一番わかってくれてるのはカイだよ。カイじゃなきゃ…俺は…」
そうだよ。俺が一番わかってる。でも…だけど…それはまた違うんだよ。そんなに苦しそうな顔しないでよ…
「…バカ…そんな顔で言われたって嬉しくない…わかってる?どんな顔してるか…?」
「え?」
本当に自分のことになると鈍感で不器用なんだから…
「星夜のバァカ…」
思いっきり頬を抓ってやる。俺の小さな反抗…
「って…何すんだよ…俺が真剣に…」
ふふっ…やっと星夜が見えた…もう大丈夫…
「…それは朝陽くんとちゃんと話してから…。大丈夫…。どんなことになっても俺は離れないから…だからちゃんと話して来て。ね?」
朝陽くんと話せば星夜が本当の笑顔を取り戻せる…それは確信していた。
俺…うまく笑えているかな…
朝陽くんじゃないと星夜はダメなんだ…朝陽くんも星夜じゃなきゃダメなようにね…
朝陽くんと元に戻っても俺は友人として側にいることは苦じゃないよ…
星夜が幸せな顔してることが俺の幸せなんだから
なんて…そんなの綺麗事…
ホントはこんなに星夜が欲しいのに…
心から求めて欲しいのにな…その役割は俺が良かったなぁ…なんて…そんなこと叶わないんだけど…
でも心までは俺のところにはないんだよね…そんなんで引き留めたって惨めなだけ…だから…星夜…幸せになって…
素直に頷く星夜を見詰めてしっかり焼き付けて…背中を押してあげるんだ
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