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第241話

十夜side 腕の中にいた朝陽がそっと離れていく空気を感じ目を開けた 「ごめん。起こしちゃった」 申し訳なさそうに言う朝陽に声をかけるけどうまく言えてたかな? 微睡みの中朝陽の顔に手を伸ばす 朝陽が抱き締め返してくれたことはわかった。 ベッドにもう一度潜り込んで出ていく朝陽を見詰めていた… これで最後の朝陽との時間。朝陽との時間がもうすぐ終わりを告げる…切なくて胸が痛かった。もう一度眠る気になれずにモソモソとベッドから出た しばらくベッドに腰掛け天井を見上げる。重い体を起こし着替える。着替えを終えた頃、朝陽が寝室にやって来て俺のことを見詰める…そんな目で見るなよな…離したくなくなる… 「なぁに?朝陽。そんなに見つめないでよ。照れる」 「やっぱカッコいいなって思って」 朝陽のそれは反則だと思う… 「はぁ…お前なぁ……我慢できなくなるじゃん…」 聞き取れなかったようだがその方が良かった 朝陽がこのままじゃだめなのかな?という目をしてこっちを見ている…俺もこのままがいいなんて思ったけど言えるわけもなかった。俺は頼れる幼馴染みなんだから… 「朝陽。星夜と話せよ。約束な」 朝陽を真っ直ぐ見詰めた。そう言えばあれを渡してなかった…そう思いクローゼットを開けた 「返しておくから」 「何で…これ…」 本当に不思議そうにでも嬉しそうにする朝陽の掌に星夜のリングを乗せ握らせた。 嬉しそうな表情に複雑な思いはあったが朝陽のそんな顔が見れるのならばそれもいいだろうと思った その後一緒に食事をとり仕事へと向かう。 いつもと変わらない光景。 違うのは見送りのキスがないことくらい… そっとドアを閉じ朝陽の気配が消えるとドアに寄りかかる 自然と流れる涙を拭い一つ溜め息を落としドアから離れた 朝陽…愛してるよ…本当は離れたくなんかない…でも…側にいてくれてありがとう… 病院に着く。朝から父の顔を見る。父は何かを察したのかぽんぽんと頭を撫でた。 懐かしい温もりに止めたはずの涙が溢れそうになるのを必死に堪える。 仕事は仕事。頭を振り気合いをいれた

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