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第260話
十夜side
昨日は星夜に対して怒りしかなかった
朝陽以外のやつなんてどうでもいいと思っていた…でも…
あれだけ弱り星夜にすがる雪代さんを見たら朝陽のことを強くは言えなかった
少しでも朝陽のこと早く迎えにいってもらえたらと思い朝陽が出ていったことを伝えたのだが…
でも…
俺の知っている雪代さんはいつも飄々としていて完璧な大人。
モデルの仕事に関しては俺なんて足元にも及ばないすごい人だった
見ている人全て自分のものにしてしまうほどの凄まじい魅力と絶対的なオーラ。
カメラが向くともういつもと別の人が顔を出していた。
これは朝陽にもあるがまた種類が違う。うまく言えないが…
雪代さんは回りをすぐに虜にしてしまうがその一方で雪代さんが作り上げた高い壁がある為そう簡単には近寄れない
普段の雪代さんはいつも笑っていて取っつきやすそうと一見思うのだが側によるとやはりこれ以上は近付かせないという空気感を纏っていた
一方で朝陽は見ている人を虜にしてしまいすぐに深みにはまらせてしまう。
普段は言うまでもないが誰にでも優しく自らその人のことを知ろうと近付いていくため直ぐに側に皆が来てしまう。そのせいか昔から良くない輩まで寄ってきてしまい危ない目にも何度と無く遭ってしまった。
近付かせない空気感を持っている雪代さんが唯一寄り掛かれるところ…それが星夜のところなのだ…
朝陽には…今は辛いかもしれないが…星夜の代わりなんて直ぐにでも見つかる可能性は高い…どんな形であったとしても…
それを考えて悩み抜き星夜は雪代さんを選んだのだろう…星夜がどれだけ苦しんだのか…それは痛いほどわかった…星夜は朝陽と同じでとても優しいから…
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