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第262話

診察室からカイの叫び声が聞こえた 「星夜…どこっ…星夜…」 それを聞き如月さんは俯き唇を噛み締めていた。何も出来ない自分がとても歯痒いのだろう 「早く店長のところに行ってあげてください…」 急いで診察室に戻るとベッドから降り床を這っているカイがいた 「星夜っ…星夜っ…」 「カイ!!ここにいるよ!!」 抱き締めキスをする 堰を切ったように泣き出すカイを強く抱き締めた 「星夜っ…星夜っ…よかった…いた…星夜っ…」 「カイ大丈夫だよ。大丈夫だから」 「側にいて…」 「うん。側にいるよ」 何度もこのやり取りを繰り返す 「もう平気?」 「うん。大丈夫。ごめんね」 「謝る必要ないよ。カイはもっと俺に甘えてよ。これまで何でもできちゃうから俺頼ってもらえなかったから頼られたいな」 「ありがと」 「うん。帰ろっか?」 「蓮華のとこ行きたい」 「わかった」 「蓮華。大丈夫?」 「てんちょ。大丈夫ですよ。俺打たれ強いから」 「そう」 「調子がいいみたいなので後二、三日すれば退院だそうです」 「よかった」 「てんちょ。俺直ぐにでも仕事復帰出来そうなんですけどまた新しい化粧品の開発に入らないとならなくなって。なので暫くお休み頂きたいんですけど」 「わかった。みんなには伝えておくね。この後お店行くから。事情説明するのに今回のことちょっと話さないとならないんだけど…大丈夫?」 「はい。大丈夫です。よろしくお願いします」 如月さんがカイのことを思い暫く距離を置こうと決めたのだろう。如月さんは如月さんでカイのことを思っているから負担になることを避けたんだろう 「じゃあそろそろ行くね。また来るね」 カイと共に帰りに店に立ち寄りキャストのみんなに掻い摘んで説明する。 カイはキャストの前では平静を装っていた。 明日から出勤するというカイをキャストみんなで止める姿にカイは確かに愛されているんだなと感じた 説明を終え店から出るとカイは俺に倒れ掛かってきた。不安で不安で仕方なかっただろう… 「星夜…俺ちゃんと話せてた?」 「大丈夫だったよ」 「良かったぁ…」

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