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第271話

カイside 頭を冷やそうとシャワーを浴びることにした 俺…何やってるんだろう… 仕事まではまだ時間がある。 食欲はないが何か胃に入れなければ… 冷蔵庫にあったもので簡単に料理をする。 いつもの癖で二人分作ってしまう 「あ…作りすぎちゃった…」 一人でゆっくり食事を運ぶ。全然味がしない… 「星夜…帰ってこないのかな…」 何度この言葉を呟いたのだろう 無理矢理に食事を押し込んで飲み込む ガチャ…その時扉が開いた 「ただいま…」 脱兎の如く玄関へ向かい星夜の胸へ飛び込んだ 「おかえり」 「あれ?泣いてた?」 星夜が優しい笑顔を向け涙を舐めとってくれる… 「遅くなってごめんね」 言葉が出なくてコクコク頷くしかできなかった お互い無言で向き合った 何から話そうかと口を開いては閉じた 「カイ」 「ん…」 「俺いなくて平気だった?」 それに対して答えることは出来なかった 「…」 「正直…ホッとした…俺じゃなくても大丈夫だとわかったから」 星夜が遠くを見詰めながら呟く。別れを切り出されるのだろうか…目尻に涙が溜まっていく… 「カイ。一度離れてみようか?」 いやいやと首を振る 「せいやぁぁぁ…ごめんなさいぃ…」 涙が止まらない…そんな俺に星夜が一瞥を投げた。次は何を言われるんだろう…怖くてたまらない… 「如月さんを抱いたの?」 「うん…」 「俺のこと追いかけないで他の人抱いたんだ…へぇ…」 もう何も言えなかった…星夜を追いかけるのが怖くて蓮華を抱いた…嘘なんてつけない… 「怒ってる?」 「…怒ってないよ。ちょっと拗ねてみただけ。このご飯で許す」 「え?」 「昨日の夜からご飯食べてないからお腹すいてたんだよね。玄関開けたらいいにおいするからもっとお腹すいちゃって。そんな顔しないで。笑って」 星夜が瞼にキスを落とし、優しく微笑んでいた

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