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第272話

自宅へ向かって車を走らせる。 もうすぐ到着する頃スマホが鳴った 近くにあるコンビニで車を止める 「はい」 「朝早くからすみません。如月です」 随分前に連絡先を交換していたのですぐにわかっていた 「どうしました?」 「今お時間大丈夫ですか?」 「はい」 如月さんも近くに来ていたようで24時間やっているカフェに向かう 「朝早くからすいません…」 「いえ。大丈夫です」 「昨日のことなんですが…あれは…俺が無理矢理お願いしたんです…俺告白したんです。でも断られちゃって…」 ゆっくり一つ一つ話す如月さんは泣きそうな顔をしていた。黙って話を聞き続ける 「最後に抱いて欲しいとすがりました…カイさんは優しからそれに応じてくれただけなんです…」 「俺にどうして欲しいんですか?このまま目の前から立ち去った方がいいですか?」 「正直…そうして欲しいです…でもやっぱりカイさんはあなたじゃないとダメみたいです…」 「…」 「カイさんの元へ戻ってもらえませんか?」 「俺はカイから離れませんよ。カイがどんなことしたってどうせ許してしまう」 心底安堵したように如月さんが破顔した 答えなんて最初から出ていたんだと思う。十夜さんに言われたわけでもましてや如月さんにお願いされたからというわけでもない。結局俺はまだカイから離れられないのだ。 同情と言われれば完全に否定なんてできない。 それでもそばにいたいのだから仕方ない… 「カイが頼れるのは俺だけだと思っていました。でも如月さんだってカイにとって必要な人です。カイが甘えられる人です。だから…あなたにとっては拷問のようなものかもしれないけどカイの側にいて来れませんか?」 「それは勿論です。カイさんは俺にとって恩人ですから」 「ありがとうございます」 如月さんと別れ今度こそ自宅に着く。 キッチンの方から美味しそうな匂いが漂っていた 「ただいま…」 奥からカイが不安と喜びが入り交じったような複雑な表情で駆け寄ってきて胸に飛び込んできた。 目を潤ませ見上げるカイが可愛く見えた 見慣れたはずのカイの顔。まじまじと見たのは久し振りだった その顔をみてイタズラ心に火がついてしまう

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