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第274話

「星夜…まだ側にいてくれるの?」 「だめ?」 「ダメじゃない…でも…さっき離れてみようって…」 へたりこんだカイを支えリビングへ向かい食事を摂っている俺にカイが話しかけてくる 「それは本当に思ってる。俺はまた二ヶ月もすればスタイリストの仕事が入ってくる。必然的にこの数ヵ月より格段に一緒にいる日は減る。俺が側にいないだけでお前が自分を保てないことになるならまたみんなに心配かける。だから離れてその練習をした方がいいんじゃないかって考えてるんだ。もしかするとまた海外へいくことになるかもしれない」 「…」 「でもさ…お前が着いていきたいって言うのなら連れていっても良いよ。直ぐじゃなくて良い。考えて」 「どのくらいいくの?」 「撮影日程次第かな。全編海外撮影の映画に呼ばれてるんだ。まだ返事はして無いんだけど自分のスキルアップのためには必要だと思ってる」 「そっか…」 海外に行く事には正直迷いがある…映画の撮影だから恐らく2ヶ月から3ヶ月程度はかかる。 朝陽さんのときみたいに長くはないがその短い間でカイを失ってしまうんじゃないかという不安… でも離れてみたら見えてくるものもあるかもしれない…俺は今何をしてどうしたいのか? 何が俺にとってもカイにとっても良いのか? 側にいると見えない何かが見える気がする

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