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第285話

朝陽side 「朝陽くん。霞くんには気をつけた方がいいかも」 「そうですか?」 「朝陽くんのこと狙ってるかも…何となく朝陽くんに向ける視線が気になって」 「土門さんが言うならそうかもしれませんね。気をつけてみます」 「朝陽くん。誰にでも優しいのはいいところなんだけどそれが時には朝陽くんのこと貶めてしまう要因になることもあるかもしれない。常に気を張ってろとは言わない。でも距離はほどよくとったほうがいい。今の朝陽くんはどこか危うい…」 「危ういですか?」 「色気がダダ漏れなんだよ」 「そうですか?自分ではそんなつもりないんだけど…最近いろんな人に言われます…」 「相馬くんと別れてからは特にね…」 「だめですねぇ…」 「一旦十夜くんに相談したら?幼馴染なんでしょ?」 「でも十夜には…」 「はぁ…ほんと気をつけなよ」 「はい…」 そのあとは夜が更けるまで飲んで眠りについた お礼を言い帰宅する。するとそこに霞くんがいた 気づかれないよう踵を返す。行く当てはないのでどうしようかと近くの公園で悩んでいると電話が鳴った 「十夜。どうしたの?」 「今何してるの?」 「家の近くなんだけど…ちょっと入れそうもなくて」 今の状況を話すと十夜は直ぐに来るといってくれた やはりまた十夜に頼ってしまった 「あれ?霞って」 家の前を通り過ぎるとき霞くんの後ろ姿を横目に見て十夜が問う 「うん。そう。悪い子ではないんだけど土門さんが気をつけておいた方がいいって」 「相変わらず変なのに好かれるね。朝陽は」 「何でだろ…」 「昔から変わらないな…」 その日は夜まで十夜と過ごした。 他愛ない話をしていたら時間は瞬く間に過ぎていった 帰りも送ってもらう。もうそこには霞くんはいなくてでも心配した十夜が部屋の中まで送ってくれた そのまま帰すのも悪い気がして食事を用意することにした 「ご飯食べてくでしょ。簡単なものならすぐできるから待ってて」 「ありがとう」 久しぶりに誰かのために料理をした 久しぶりに誰かとゆっくり食べる物は美味しく感じた 「ごちそうさま」 「お粗末様。十夜は明日は仕事だよね?」 「いや。明後日まで休み。強制的に休まされた」 「そうなんだ。じゃあ泊まってく?この間いいワインを貰ったんだけど一人で飲むにはね…」 何となく一人になるのが怖くてそう提案する。 「ん~…じゃあそうしよっかな?」 「確か十夜の服もいくつかあったはずだから準備しておくね。お風呂いってきたら?」 「ありがと」 十夜を見送り片付けと準備をした

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