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第288話
朝陽side
このことは誰にも言うつもりはなかった
特に十夜には…心配させたくなかった
せいくんと別れて始めの仕事の時は大先輩に体を弄られた…連続ドラマの撮影が終わるまで顔を合わせる度に
その次の映画は若手の子に押し倒された。
またその次は共演者の人にキスされた
そんなことが毎回繰り返される。どの現場に行っても…どんな仕事をしていても…
「とーや…仕事大好きだけどいつ何されるかわからないのって怖いよね」
十夜の胸に顔を埋めた…やっぱり誰かに守ってもらわないといけないのかな…一人で立っていられないのかな…何でこんなに弱いんだろう…今までどれだけ十夜に助けられて来たのだろう…
十夜の幸せを願うのならもう甘えてはいけないのに…ごめんね…十夜…
十夜はそっと抱きしめてくれた。これまで流せなかった涙が溢れた
「十夜…ごめんね…また…」
「いいよ。もっと頼ってよ」
僕が落ち着くまでずっと抱きしめてくれる十夜。ごめんね…
「もっと利用して。俺のこと。俺はお前の幼馴染でしょ」
「十夜…」
自ら唇を重ねていた。不安を少しでも忘れたくて…
「朝陽…」
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