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第302話
久しぶりの事務所に居心地の悪さを感じてそわそわする。
凜ちゃんと話が終わり隅田が着くのを会議室で待っていた
隅田に連絡したらもう少しかかると言うことだったから飲み物でも買いに行くことにした
自販機コーナーがゲストルームの隣の空きスペースにあるので向かう
飲み物を買い戻ろうとすると物音と人の声がした。
ノックしても返事はなくただ聞き覚えのある声が精一杯拒否している声が聞こえた
たまらなくなって思いきりドアを開けると人が組み敷かれもがいていた
押さえつけていた奴が振り返り不機嫌そうな声を出す
見覚えがある。最近毎日のように歌番組で見る霞 桔梗だった
見た目が可愛らしくフワッとしているのでこんな雄の顔をするなんて驚いて、でも組み敷かれている相手を見て頭に血が上る
「お前何してるの?それって同意?
そんなわけないよね?嫌がってるようにしか見えないけど?」
霞が戸惑いの色を浮かべる
「霞だったっけ?大人気歌手がそんなことしてていいの?」
「五月蝿い!部外者は黙ってて!ここ関係者以外立入禁止だよ。あんたの方がやばいんじゃないの?」
目には涙を浮かべ必死の表情だったがそれよりも朝陽さんの怯えた表情が気になった
「残念。俺関係者だから。てかいい加減その汚い手どけてくれない?俺の朝陽さんから」
自分でも驚いたけど出てしまった言葉は飲み込めない
「はぁ?朝陽さんには恋人が…朝見た人違う…」
きっと十夜さんだろう。
「じゃあ恋人いるってわかっててそんなことしてるの?どんな神経してるわけ?」
「お前こそ…」
「ていうか何で自宅まで知ってるの?何で一緒にいたこと知ってるの?」
「それは…」
「そっちの方がやばいんじゃないかな?早くどけよ」
なかなか退こうとしない霞にしびれを切らし朝陽さんから引き剥がす。
久しぶりに抱き締めた朝陽さんの匂いに離すのが惜しくなる。震える身体を擦った
霞が涙を浮かべながら出ていくのを見送ったが抱き締めた腕を緩められないでいた。
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