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第308話

朝陽side 「ありがとうございます」 「で要件は?」 「華稜院さん。あなた大丈夫ですか?」 何のことかと思い首を傾げると 「色々なところから話を聞くんです。華陵院さんが共演者に…その…如何わしいことを…」 「あぁ…」 「うちの者は何もしていないでしょうか?」 「大丈夫。皆とても素晴らしい役者さんばかりですよ」 「余計なことかとは思いますが…あなたに…そんなことする事務所は決まっていませんか?」 北元から言われ改めて考える。頭に思い浮かんだ人を思い出すと霞くん以外は確かにある大手の事務所人たちだった 「確かに…」 「やはり…こちらでも勝手ながら調べさせていただいたのですが…」 北元の話によると昔からいい噂を聞かなかったその事務所は人気俳優やタレントたちに嫌がらせをし芸能界から退かせているとのこと。 爆発的な人気を博したにも関わらず急に引退する者が多くいるがそのほとんどがおそらくそこの嫌がらせのための結果となっているようだ 陰湿なものから性的なものまでそれは様々でその中でも性的なものは特別で、もしそれに屈してしまい快楽に溺れてしまえば性処理の為の玩具として事務所の用意しているマンションへ監禁されてしまい飽きたら闇オークションにかけられるそうだ。 元々人気の有名人として君臨していた彼らはとても高値で取引されそれで得た金は事務所の運営費やその他諸々まかなわれるそうだ。 人材を育てることを生きがいとしている北元にとってそれは許しがたいことでその事務所をどう葬ろうか考えあぐねいていたようだった。 その嫌がらせに屈せず続けた者は確かに多くいる。 しかし、仕事が極端に減りあまり表には出てこなくなることも少なくはない。 理由は簡単。その事務所には逆らえない。もし逆らえばただでは済まない…事務所の人間が共演NGを出せば最後だ。 「僕は自分で出来るだけ対処しているので今のところは…」 僕の後ろには華稜院グループがいる。だから相手も下手に動けないのだ 「あなたはその見た目と身分なのでどっちかというとのどから手が出るほど欲しいと思われています…その…玩具として…」 なるほど。合点がいった。やられることがあからさまなのだ。 「だから…本当に気をつけてください。それと…こんなこと言うのはあれなんですが…」 「何?」 「力を貸していただけないでしょうか?自分だけではこれ以上動くことが困難なのです…うちの子達も被害に遭い始めてしまって…あそこは大手だ…これ以上は…」 「僕にできることがあれば協力します。心配してくれてありがとう。何かあれば再度連絡差し上げます」

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