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第320話
そっと髪を撫でると薄く目を開ける
「んっ…せいくん…ここにいてくれたの?」
「はい。もう体辛くないですか?」
「うん。大丈夫」
「さっき霞さんが様子見に来てましたよ。すごく心配していました」
「そう。今度お礼言わなくちゃ…」
体を起こし立ち上がる朝陽さん。足元がふらついたので支える
「ありがと…せいくん?…どうしたの?」
そのまま抱き締めてしまった俺に不思議そうに顔を向ける
「すいません…朝陽さん…もう少し…」
朝陽さんが遠慮がちに腕を回してくる。
「朝陽さん…俺…最低です」
「え?何が?」
「俺…」
なかなか言葉が出てこなくて俯く
唇に柔らかいものが触れた。キスされたと気付くまでに時間がかかった
「あ…朝陽さん…」
「ごめん…せいくん…
あの…僕にもう一度チャンスをくれない?僕は君が好きだ…やっぱり忘れられなかった…」
「…」
「ごめん…迷惑…だよね…」
ただただ愛しい…朝陽さん…本当に俺でいいんですか?…
すぐに返事をしない俺を不安げな表情で見上げる
「ごめん。忘れて…」
朝陽さんが背を向け部屋を出ようとした
気持ちよりも先に体が動き朝陽さんを後ろから抱き締め肩に顔を埋めた…
「朝陽さん…俺…最低です…カイと別れて間もないのにこんなにも朝陽さんが欲しくてたまらない…朝陽さん…好きです…」
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