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第321話

朝陽side せいくんが僕を抱き締めたまま好きだと言ってくれた 夢みたいで…動けないでいた。 「…せいくん。ホント…?もう一度僕といてくれる?」 「朝陽さん…すいません…俺こんなにも勝手で…」 せいくんの腕をほどき振り返る。せいくんは今にも泣きそうな顔で僕を見ていた 「自分でも戸惑ってます…カイに対するものはこんなにも早く忘れられるものだったのかって…ただ朝陽さんから逃げるために利用していたんじゃないかって思う程に…でも…朝陽さんと会話していくうちにどうしても…手放したくなくなってしまって…」 「せいくん…僕はどんな君でも大好きだよ。僕の恋人になってくれませんか?」 どんな想いでもいい…せいくんの側にいられればそれでいい… 僕は有りったけの想いを込めてせいくんを抱き締めた 「せいくん…帰ってきて…僕の隣に…」 「朝陽さん…本当に俺でいいですか?」 何度目かの問に頷くとせいくんは僕に口付けた 額を合わせそっと目を開き見詰め合う…瞳に溜まる涙を見ながら笑いかけた 「せいくん。そんな顔しないで」 目蓋に唇をあてた 「大好きだよ」 そのまま暫く抱き合っていた

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