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第323話
朝陽side
せいくんの手を握ったまま停めてあった車へ向かう。
せいくんには助手席に乗ってもらった
「朝陽さんが運転…」
「何?似合わない?」
「いやっ…あのっ…」
「いいよ。自分でも思うから」
「違いますよ。その…体…大丈夫かなって…」
「確かに怖かったよ。でも僕だって男だから。そんな簡単には壊れないよ。それより事が収まって良かった」
せいくんに宮部くんから連絡が入り無事片付いたと聞いていた
例の事務所は以前から目をつけていたそうでそう時間もかからないうちに関係者は全員逮捕できるだろうとのことだった
それは本当で自宅に戻りテレビをつけるとどの番組も同じ内容を放送していた。
せいくんは落ち着かないのかソワソワしていて小さな子供のようだった
「せいくん。落ち着かない?」
「なんか二人きりが久しぶりすぎて緊張しちゃって…」
「なんかそんなせいくん初めて見たから新鮮。なんか…可愛い…」
「えっ…こんなでかい男に言うセリフじゃないですよ」
「ううん。可愛い」
ソファに座るせいくんを後ろから抱きしめると耳まで真っ赤になっていて本当に可愛くてたまらなかった
そのまま髪に口付ける。ここにせいくんがいる事がまだ夢みたいでせいくんの存在を確かめるためにずっと触れていたい
「朝陽さん。こっち来て」
せいくんに言われるまま前に回ると膝の上に乗せられて頰に触れてくる。
形勢逆転…せいくんに耳元で囁かれると身体中が火照る
「朝陽さん…真っ赤…可愛いですよ」
「せいくんはずるい…」
「えっ…」
「だって…やっぱりかっこいいまま…僕も大人の男になったはずなのに…せいくんには敵わない…」
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