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君が幸せでありますように。10

退院して2ヶ月。店に久しぶりに顔を出した。 カイさんが休みで他に急遽休みのキャストが出たので連絡があったのだ。 その後何度か店には出るがカイさんがいなくてどうしても回らない時だけしかいかないのであれからあっていない 少しでも傷は癒えただろうか… 会うこともなくそれから約1ヶ月忙しくなりすぎて誰も入れないからと俺に連絡が来た。 あれから久しぶりにカイさんの顔を見る…カイさんは以前のように仕事をこなしていた。 「お疲れ様です。よろしくお願いします」 カイさんへ笑顔を向けると返してくれた。その笑顔は自然で心底安堵した。 その後滞りなく時間が過ぎ疲れ果てていた他のキャストを帰宅させ今後のイベントなどの話をした。 久しぶりの2人きりの空間。とても幸せを感じていた。 あまりにも楽しくていつしか時間が過ぎもう日付が変わろうとしていた。 相馬さんが心配しているんじゃないか… 「てんちょ。もうこんな時間ですけど帰らなくていいんですか?相馬さん待っているんじゃないですか?」 カイさんの顔が曇る。どうしたのだろう… 「今日は帰れないかもって言ってた。一応連絡してみるね…あ…充電切れてる…」 相馬さん心配でたまらないはず… 「じゃあ急がないと…」 「そだね」 まだ浮かない顔をしている…大丈夫かな…カイさん… カイさんが立ち上がった時ふらついてしまい押し倒されたような形になってしまった…カイさんの温もり…我慢の限界だった… 「うわっ…ごめん…」 思わず抱きしめていた。こんな顔して欲しくない… 「どしたの?蓮華」 カイさんが戸惑いながら問う 「店長…」 「蓮華?」 「カイさん…俺じゃダメですか?」 俺だったらこんな顔させないのに… 「え?」 「俺が隣にいてはダメですか?俺があなたを守りたい…」 カイさんが言葉を失う…それに俺は酷い言葉をかけてしまった… 「俺は相馬さんと比べれば頼りないかもしれない…でも…あなたの気持ちはわかってあげられるつもりです…相馬さんは…華陵院さんの元へ返してあげた方がいいと思います」 こんなこと言うつもりなんてなかった…瞳に涙が溜まっていく…ごめんなさい…カイさん…でも… 「ねぇ…カイさん…俺だったらそんな顔させないよ…俺にはカイさんだけなんだから…」 我ながら何て自分勝手なんだろう…愛しい人を泣かせて…こんなに苦しそうな顔をさせて…

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