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君が幸せでありますように。15

相馬さん帰国の日。 カイさんは迎えに行くのも躊躇していた。 「蓮華…どうしよう…星夜が帰ってくる…俺…」 「なんて顔しているんですか」 「怖いんだ…離れている間…星夜が思い出していたのは朝陽くんかもしれない…離れてみたらやっぱり朝陽くんがいいって気づいていたらと思うと…」 「カイさん…大丈夫ですよ」 相馬さんはちゃんとあなたを思っていますから…あんな顔させられるのが他でも無いカイさんなんだから… 俺は出発の数日前相馬さんに会っていた。カイさんを連れて行ってくれないだろうかって話しをしに …その時相馬さんはとても寂しそうにしてて 「俺は本当はカイがついて来てくれるって思ってたんです…自惚れてました…カイを離したくない…本当はずっとそばに置いておきたい…でも…カイはしっかり俺を見据えて言ったんです。 俺はやるべきことがある。 と… 店を放り出していけない。 蓮華のことは信用してるし離れたからって店は全く問題ない。 けれど俺はここから離れるなんて考えられない… 離れてゆっくり考えないといけない時がくるって言ったのは俺自身です。 でも…本当に先のことを見据えていたのはカイの方だった…だから…俺も俺のやるべきことをやって来ます。如月さんカイのことお願いします。って…本当はあなたに任せたくない…」 「えっ…」 「カイがいつかあなたを選んでしまう気がしてならないから。この離れてしまう数ヶ月でそうなってしまうかもしれない…そう思うと…ね…。あなたとカイは本当にお似合いで俺が嫉妬してしまうくらいです…カイは俺だけのものだって思ってたのにな…あなたといる時のカイは本当に活き活きしていて羨ましいです」 そんなことはない。でもこんなに苦しそうな顔をしてる…こんなに不安なんだ…完璧に見える相馬さんでさえ… 「カイさんはあなたが1番です。俺は足元にも及ばない。本当に選んでくれたら嬉しいけど…でも…無理でしょうね。あなたに敵いっこ無いです。離れている間は俺がカイさんを見守っておきます。また変なことに合わないように…だいたいカイさんは何かとダダ漏れ過ぎなんです…なんていうか…ねっ…」 「確かに…」 「あの人…艶っぽいんですよねぇ…何してても…昔はそのこと自分自身がよくわかってて存分に利用して来てたから大丈夫だったけど今無自覚ですからタチ悪いです」 「ほんと…心配…はぁ…連れていきたいなぁ…でもカイは決めたら動かない頑固者だから…」 「そうですね…店のコスプレも完璧じゃ無いとかなり怒られます」 「ははっ…目に浮かびます…如月さん。お願いしますね。カイのこと」 「はい。相馬さん。任せてください」 あの日のことを思い浮かべながら 「ほら。行かないと間に合わなくなっちゃいますよ」 「…わかった…万が一のことあったら慰めてね…」 「はい。わかりました」 不安そうな顔を浮かべながら向かうカイさんを見送った… その日カイさんから相馬さんが選んでくれたとメールが来ていた よかった…

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