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君が幸せでありますように。19

翌日、相馬さんが店にやって来た どこか浮かないような顔をしている相馬さんは何かしら感じていたのかもしれない 「蓮華のことが好きになった…ごめん…別れよ?」 星夜さんはとても苦しそうに顔を歪めた…カイさんも同じ顔をしていた… こんなにお互いを思っているのに何でこんなことになっているんだろう… 「相馬さんあの…」 やっぱりこんなことはおかしいと全部嘘だと相馬さんに伝えようとしたがカイさんがテーブルの下で強く俺の手を握ったので思わず口を噤んだ… 相馬さんは一言…わかった…それだけ言い席を立った。カイさんは俯いていたので気付かなかったと思うが相馬さんは唇を噛み締め拳を握り少し涙を浮かべていた…相馬さんも無意識かもしれない… 罪悪感に駆られるが…結局自分の欲には勝てなくて…相馬さんの背中を見送った… ドアが閉まる…カイさんがゆっくりと顔を上げた…涙で濡れた頰を自身で拭ったが涙は止まってくれないようだった 「うっ…ぐっ…蓮華…俺…俺ちゃんと出来てたかな…星夜…星夜…大好きだよ…」 胸が痛い…本当にこれで良かったの?言葉にできなかった… 「…あぁぁぁぁぁ…」 泣き崩れたカイさんを抱きしめる。 「カイさん…俺がいますから…俺が側にいますから…」 背中を撫でながら囁く… 「蓮華…っ…蓮華っ…」 子供のように泣くカイさんを抱き締め続けた… 「蓮華…ごめんね…ありがと…」 「落ち着きました?」 「ん…」 「カイさん。明日お店休みだし気晴らしにドライブでもいきましょうか」 「でも…明日は仕事って…」 「大丈夫ですよ。俺これでもやれる子なので」 翌日半ば強引にカイさんを迎えにいき車に乗せた。 「どこ行くの?」 「遊園地でもいきます?」 「遊園地?」 「アトラクション乗って大声出したら気が紛れるかもしれませんよ」 「遊園地…撮影で行った以来行ってない…」 ちょっとワクワクしたようなカイさんに微笑む 少しでも忘れられたらいい 少しでもカイさんが笑えたらいい… 何も考えないで過ごす時間が少しでもあれば… 俺はカイさんのためならなんだってするよ。カイさんが笑っていられるなら… だから…側にいさせてね… カイさんは子供のようにはしゃいでいた。 年齢には到底見えないその姿が可愛くて可愛くて仕方がない 「はぁ…叫んだら喉乾いちゃった。飲み物買ってくるね」 「疲れたでしょ?俺行ってくるから休んでていいよ」 「でも…」 「いいから。ねっ?」 「ん…ありがと…」 カイさんをベンチに残し飲み物を買いに向かう。平日にもかかわらず修学旅行生がいるので売店は思いのほか混んでいた やっと買い終わりベンチへ戻るとカイさんが女の子に声をかけられていた 「カイさん。お知り合い?」 「知らない」 「私たちも二人だし一緒に回りましょうよ」 「ごめんね」 ナンパか…まぁカイさんだし…ね… 尚も食い下がる女の子達。女の子ってすごい… するとカイさんが俺を抱き寄せキスをする 「俺たちのデート邪魔しないで?ねっ?」 うわっ…出た…カイさんの十八番…お色気たっぷりの声でウィンクなんてするもんだから彼女たちは黄色い声をあげた 「そっか。ごめんなさい。じゃ」 「カイさん…人前で何しちゃってるんですか…?」 「ごめん。この方が手っ取り早いって思って」 「カイさんって酷い人ですね。俺の気持ち知っててやるんだから…責任とってくださいよ」

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