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君が幸せでありますように。20
「はい。飲み物。お待たせしました」
「…」
「どうしました?」
「ごめん。蓮華」
「何が?」
「何か…お前の気持ち振り回してるみたいで…」
「大丈夫ですよ。俺はゆっくり待ちますから。それでも他の人選んだら…あぁ…結局側にいますね。カイさんの幸せ近くで見守っていたいですから」
「お前…本当にバカなんだな」
「失礼ですね。これでも優秀なんですよ。…ん~…でもまぁカイさんのことになると馬鹿になっちゃいますね。それだけあなたの存在は俺にとって大きいんです。
…俺が如月蓮華という一人の人間だって初めて認めてくれた人ですから」
「…蓮華…苦しくないの?俺の側にいることって」
「正直なところ苦しいことも多いですよ。でもそれより幸せなことの方が多いんです。俺は人としてあなたを尊敬してますし。恋人になれなくたってそんな人の側で仕事していられたり話せたりそんな普通の事が俺にとっては特別なんですよ」
「ねぇ。蓮華」
「はい」
「いつもありがとう」
「いいえ。こちらこそありがとうございます。俺を見付けてくれてありがとうございます」
「お前…やっぱりいい男だな」
「あなたに言われても説得力無いですけどでも嬉しいです」
「蓮華」
「何ですか?」
「はぁ…」
「え?俺なんか変なこと言いました?」
「いや…本当にバカ…惚れちゃうじゃん」
「どうぞ。願ったり叶ったりです」
「俺さ今かなり弱ってるの」
「はい。知ってます」
「今誰かに押されたらコロッといっちゃうかも…」
「ここまでしといて他の人にいかれたらたまらないですね…
カイさん…。
なんなら取り合えず傷が癒えるまででもいいので俺のものになってくださいよ。
もう諦めてください」
「…いいよ。お前のものになる
でも…俺の中にはまだ…」
「いいですよ。それでも。俺あなたには甘いので。それでやっぱり他の人がよくなったって言われたら…俺は…まぁ…落ち込むでしょうけど大丈夫です。打たれ強いので。優良物件でしょ?他に無いですよ」
「そうだね。お前が他のものになるのは俺は何か嫌だし」
「うわぁ…勝手ですね…あんだけ他にいい人いるよっていい続けてた人が」
「そうだよ。自分勝手なんだよね」
「まぁそんなところも許しちゃいますけど」
「お前…Mなの…?」
「そうかもです。ただしカイさん限定ですよ」
「あぁ…そうかもね。残り回ろうか?恋人なんだから手でも繋ご」
「はい」
この手を握っていられるのはほんの少しの間かもしれない。
カイさんの中で相馬さんへの想いは絶ちきれていない。
カイさんの心の奥に俺は入れないのかもしれない…
でもカイさんが笑っていられるなら…
幸せであるなら俺は…
そっと差し出された手を握り歩き出す。
あなたが幸せでありますように。
fin.
蓮華編。完結です。
後日談もまた書いていく予定です。
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