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宵闇の向こう側…11
その日から星夜は僕を指名してくれることが増えた。
元々星夜は指名する人ではない。その時の気分で人を呼ぶ。
でも毎回大金を落としていくので彼の希望はほぼ全て叶えられていた
だから元々予約が入っていても星夜の元へ優先的に行かせてもらえた。
元々予約をいれていた人たちにはオーナーがうまいこと言ってくれていたので特に問題はなかった
「お待たせ。星夜」
「お疲れ様。ごめんね。また急に」
「いいよ。問題ない」
「ねぇ。なず」
「ん?何?」
「なずの見受け金用意できたら俺だけの物になってくれる?」
「それ…本気?」
「うん。ダメ…かな?」
「嬉しい…嬉しいよ」
願いが叶う…そう思うと嬉しくて嬉しくて涙がこぼれた
「良かった。もう少し待ってて」
嬉しくて星夜の胸へ飛び込んだ
「直ぐにでも星夜のためだけの物になりたい…僕が残り出したら直ぐにでも…」
「そんなのダメ。自分のじゃなきゃ意味無い」
「でも…」
「カッコつけさせてよ」
自分の人気を呪った…No.1だから他の子達と比べて桁が1つ違うのだ…
この日が終わりオーナーに掛け合うがやはり値は下げられないとの返答だった…
「どうして?」
「お前に抜けられたら困る。お前に変わる奴がまだ育っていない」
「何で?少しでも下げられないの?」
「お前に関しては無理だ」
「そんな…」
「それに…今相馬くんが来なくなられても困るし。彼はまだ若いけど太客だからこれからも大金落としてもらわないと」
「金ヅル…」
「言い方は悪いがそうだ。優良な金ヅル…」
「そんな扱いあんまりだ…」
「それが真実なんだから仕方ないだろ。あの子は評判いいからキャストのやる気にも繋がってるんだ。相馬くんに会えるからって頑張ってる奴も多いからな。みんなからしてみれば相馬くんはご褒美のような人だ」
たしかに星夜に会いたいと頑張っている子は多い。それは若い子でも年齢層が上の人でもそうだ。星夜は誰にでも合わせられるし誰もを満足させられる。
僕もその中の1人だ。
「本当に準備ができたときは喜んで送り出すよ」
これ以上何も言えなくて帰宅した
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