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宵闇の向こう側…14

「でっか…」 「昔ながらの造りだからそう見えるかもね」 「いやいやいや…でかいよ…」 「おかえりなさいませ」 幾人もの人が並び玄関で出迎えてくれる。全員で一斉にお辞儀をする様子なんて…テレビや映画の中だけの世界かと思っていた… 「何かあればこの人たちに聞いて。俺は家を開けることも多いから君に専属の子をつけるから」 「え…そんなのいいよ」 「慣れるまでは心細いだろ。俺には言いにくいことも言いやすいように同世代の奴にお願いしたから。莉音。よろしく」 「はい。立野莉音です。よろしくお願いします」 人懐っこい笑顔が緊張をほぐしてくれた。 莉音は本当にいい奴だった。友人のように接して欲しいとお願いしたらその通りにしてくれた。 堅苦しいのは苦手でこんな大きい家は緊張しっぱなしだったからそれだけのことが嬉しかった それに…俺を見る気持ち悪い目が嫌だった。ギラついていて恐怖さえ覚えるほど。莉音も十分に気を付けてくれた 「なずなさん。気を付けてくださいね…旦那様がいないときは何してくるかわからない…自分もできることのことはします」 「ありがとう…」 「なずな。入るよ」 「はい」 「莉音。今日は下がっていいよ」 「かしこまりました」

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