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宵闇の向こう側…18
保科さんが居なくなって一週間ほどたった頃。
僕は熱が出てしまった
体はフラフラで起き上がることは難しかった。
仕方なく使用人達がいる部屋へ内線をかける。
出たのは女性で心底ホッとした
「ごめん…桂さん…熱が出ちゃったみたい…お水とお薬ある?」
「直ぐ向かいますね」
桂さんはお母さんみたいな人。沢山いる使用人の中でも一番頼りがいのある人
「なずなさま。桂です。失礼します」
「ごめんね…」
「いいえ。旦那様の大切な人ですから」
「ありがとう」
「お食事はこちらで準備してお持ちしますね」
「うん。わかった」
「では失礼します」
動くことも億劫なのでベッドへ沈み眠った。
昼食の時間になり桂さんがやって来た
消化に良さそうなものが運ばれてきて無理矢理に口に入れる。
本当は食欲なんて無いけど保科さんとの約束だから
桂さんも含め数名いる女性たちは住み込みの人はいない。だから夕方になると帰宅する
「なずな様。大丈夫ですか?私は帰宅せねばなりませんので…」
「うん。朝よりだいぶいいから早く娘さんのとこ帰ってあげて?」
「お食事は準備して起きましたので後程他の者がお持ちします」
「…うん…わかった…」
怖くてしかたがなかった…残るのは男ばかり…でも…食事は桂さんが作ったんだから部屋の前に置いてもらえばいい。
そう思い頷いた
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