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宵闇の向こう側…22
「あぁぁぁっ」
自分のせいでやっと手に入れたものを手放してしまった…
「保科さんっ…保科さんっ…」
それから数日。ずっと部屋にこもっていた。
部屋は家具も家電も揃っていたし。食材まで入れてくれてた…
保科さんの優しさ…それを踏み躙った自分が許せなかった…
部屋の電話が鳴る
「もしもし…」
「もしもしっなずなさん!!」
「莉音?」
「何があったんですか?」
「僕が全部悪いんだ…ごめんね…莉音…」
「屋敷に戻ったらあなたも他の使用人もいないから…旦那様に聞いたらこの番号教えてくれて…」
「僕が全部悪い。お母さんは?」
「亡くなりました…苦しまなかっただけでも良かったです」
「そっか…莉音…今までありがとう…じゃあね」
「なずなさっ…」
電話を一方的に切り電話線を抜いた…今は莉音と話すのも辛い…
それから何となくテレビをつける。
テレビ画面には愛しくて憎い星夜が映し出されてた…
「星夜が僕を買ってくれたら…こんな思いしなくて良かったのに…」
そんなこと逆恨みでしかなかった。
このまま僕がいなくなっても誰も困らない…
保科さんからもいらないって言われた…ねぇ…父さん…僕生きてる意味あるのかな…?
でも…父との約束だけは破ることがやっぱりできなくて…家にこもっていても仕方がないと思い宵闇の中外へ出た
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