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宵闇の向こう側…24

そして僕は星夜に会いにいった。 近くでたまたま撮影があっていたから終わるまで見ていた。星夜はやっぱりすごい子だった。星夜には華がある。 その日の撮影は遅くまでかかっていた。終わったのはもうすぐ日付が変わる頃。共演者の人に捕まって何か誘われたんだろう。人のいいあの優しい笑顔で断っているようだった。 いそいそと家路を急ぐ星夜の後をついていった。 「星夜…どうして最近相手してくれないの?」 驚き振り返った星夜は気まずそうに僕を見た。 あの業界を離れているのにずっと待ってたんだって思わせたかったから最近って言葉を使った 「ねぇ…あの噂やっぱり本当なの?相手が出来たって…」 「うん。だからあの店を使うことはないと思う」 星夜は淀みなく言った。怒りがこみ上げる… 「そんな!僕の方が早く星夜と…」 …出会ったのに… 星夜は最後まで言わせてくれなかった 「出会った速さは関係ない。俺があの人を選んだ。ただそれだけ。あんたには感謝してるよ。色々教えてくれた人だし…」 もう名前すら呼んでくれない…酷いよ…星夜… 「じゃあ…又僕を抱いてよ。ねぇ…一度だけでいいから…」 祈るように星夜に伝える 一度でも僕のこと呼んでくれれば…一度でも抱いてくれるなら…諦めることが出来るかもしれない…でも… 「…ごめん…無理…本当にごめん…じゃあ…」 無情にもその願いは挫かれた…どうして…みんな…僕を見てくれないの…星夜…君のせいなのに…全部君のせいなのに… 怒りを通り越して笑いが込み上げてくる。星夜の首に持ってきたスタンガンを押し付けた。崩れ落ちる時こちらを見た星夜に笑顔を向けた… 君を壊してあげる… 大きい星夜を部屋に運ぶのは骨が折れたが何とか部屋に運び込む、ベッドにおろし見下ろす星夜はやっぱり綺麗だった

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