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宵闇の向こう側…31
「なずな…これは…?」
「何で…?何でここにいるの…?」
保科さん…
「何で…」
どうして…何で…わからない…わからない…
「何で…?保科さん」
ベッドに繋がれている星夜を凝視した保科さんは困惑していた…星夜に落ちていた毛布をかけ僕を見つめた…そんな目で見ないで…イヤだ…どうしよう…こんなとこ…見られたくなかった…
「なずな…何で?何でこの人がここにいるの?相馬星夜くんでしょ?」
「そんなの…そんなの僕の勝手でしょ?あなたにはもう関係のないことだから」
あぁ…もう僕は…
「…」
「なずな。鍵は?」
静かな落ち着いた声で保科さんが問う…
「…」
恐い…恐い…
「彼を解放しなさい。彼を待っている人が居るのだから。ほら。鍵を出して」
「イヤだよ…星夜を…星夜をこの手で壊したいんだから…イヤだ」
イヤだよ…僕から全てを奪わないで…イヤだよ
僕が全部悪いの?
「なずな…」
苦しそうに僕を呼んだ保科さん…その刹那…保科さんは僕を抱き締めていた…何が起こってるの…
「私が悪かった。もう一度ちゃんと話がしたい。だからチャンスをくれないか?」
え?…何?わからない。戸惑っていると…
僕を離した保科さんは僕に向かって深々と頭を下げた。
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