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宵闇の向こう側…38

一頻り泣いた僕たちは顔を見合わせる 「相馬くんには謝罪に行かないと…」 「はい…でも…今は合わせる顔が…ないです…」 「相馬くんも溜まった仕事があるだろう…申し訳ないが時間をあけようか」 「…」 コクりと頷いた…ごめんね…星夜…僕は何てことを…冷静に考えれば簡単なことだったのに…どうかしてた… 僕が星夜の恋人の立場なら… 考えただけで震える…それなのに… 「莉音や桂も心配していた。明日会いに行こうか?」 「はい」 その日は抱き締めて眠ってくれた… 翌日マンションへ迎えにきた莉音は泣きそうな顔をしていた… 「なずなさん…良かった…良かった…」 「莉音…ありがとう…大変なときにごめんね…」 「側にいられなくて申し訳ございませんでした…」 久しぶりの邸はガランとしていた 人の気配が減ったからだ 「おかえりなさいませ。旦那様。なずな様…」 「桂さん…心配かけてごめんなさい」 「お顔が見られてよかったです」 それから残った使用人のみんなに顔を見せた みんな嬉しそうに笑うから…また泣けてきた… 「なずな。またここに戻ってこないか?」 「…僕は…ここにいると…」 「思い出しちゃう?」 「うん…」 「そうか。わかった」 「保科さん…マンションまだ使ってもいい?」 「いいよ。自由に使って」 「どうしてあの部屋持ってたの?」 「お前を身請けした時。もしこっちが居辛いって思ったらあの部屋に住んでもらおうと思ってた」 「じゃああそこは…」 「元々お前のために用意していたんだ」 「そうだったんだ…だから…僕好みの部屋だったんだね…それなのに…僕は…」 「そんな顔するな」 頭を撫でてくれる保科さんは綺麗だった 「でも…離れたくないなぁ…俺も…お前のとこ行こうかな…」 「えっ?僕はすごく嬉しいけど…この屋敷は主人居なくなるじゃん…」 保科さんはこの大きな家に一人で暮らしているのだ…保科家の人は皆もうすでにこの世にはいない。 「それは問題ない」 「へ?」 「莉音がいるから」 意味がわからない… 「莉音は俺の弟だ」 突然のことに頭が追い付かない…

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