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宵闇の向こう側…42
「今後はなずなさんの分まで僕を愛して下さい」
「はい」
言われるままの星夜も初めて見た
「なずなさん。不満はありますか?」
星夜の相手が朝陽さんで良かった。
「ないです」
「じゃあ後は保科さんお願いします。今後どうなっても僕らは知りませんからこれからのことは自分の気持ちと行動次第でしょうね。なずなさんを愛しているならやること沢山出てくるでしょ。うまくいくといいですね」
「あぁ。私の出来る事をして行く。ただそれだけだ」
「一旦これでこの件は終わりって事で一先ず握手でもしたら?せいくん。なずなさんと」
言われるままに握手する。
時間も随分経ったので帰宅することにした。二人を送り自宅へ戻る。
星夜が朝陽さんを選んだ理由もわかったしなんだかスッキリした。僕も星夜と同じ立場なら朝陽さんを選んだはず
玄関の扉を閉めると保科さんが抱きしめる。保科さんは震えていた
「どうしたんですか?」
「なずな…俺でいいのか?」
「何を今更言ってるんですか。僕はあなたがいい…信じてもらえませんか?」
「ごめん…俺…」
「僕はあなたじゃなきゃ意味がないんです…もうあなたしか考えられません」
「なずな…ありがとう…」
「もう…保科さんらしくない…でも…嬉しいです…保科さんも普通の人間だったんだって」
「え?」
「僕の中で保科さんは完璧な大人だったから」
「お前のことになれば別だ…大人でなんか居られない…」
保科さんの荒々しいキスを受け止めた
「俺はお前が…お前の心がずっと…欲しかった…初めて会ったあの日から…仕事とはいえ他の男に触られるのも嫌だった…でも…大人のふりをして居た…俺だけのもので居て…」
「はい」
「お前を抱きたい…」
「いいですよ…抱いて…」
「なずな…」
「…保科さん…」
「…ねぇ…名前呼んで?」
「京介さん…」
「嬉しい…」
その日は朝まで離して貰えなかった
宵闇の向こう側…闇に染まる僕の心に月の柔らかい光が差し込んだ…
きっと…これからは…優しく静かに僕を照らし続けてくれるのだろう…
fin.
なずな編。完結です。ありがとうございました。
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