390 / 690
あなたに会えたから 2
莉音についていくと何の問題もないと歌うことが許された
誰かのために歌うことなんて母が死んだ以来なかったから少し緊張した
「あなた桔梗くん?莉音からいつも話を聞いているわ」
「そうなの?」
「うん。すごく歌の上手い子がいるって」
莉音の母は柔らかく笑った。その表情は莉音によく似ていた
数曲歌うと彼女はとても喜んでくれた
「桔梗くんの声はお薬みたい。すごく元気がもらえたわ。ありがとう。将来は人気歌手ね」
「ありがと…」
その時俺は歌手になることを決意した。簡単な道ではないことなんてわかっていたが目指すものができたから強くなれた気がした。
そして…莉音の母親が亡くなった…
微笑みを浮かべながら…
莉音の母親が亡くなった頃莉音にも会えなくなった。
家の事情が変わったからここには来られないと最後に会った日告げられた。
子供ながら大変なんだろうということは何となくわかった
俺の初恋は終わりを告げた
ともだちにシェアしよう!