396 / 690

あなたに会えたから 8

スタジオに籠り思いの丈を全てぶつけた… 本当に申し訳ないことをした…ちゃんと謝らないと… そう思い今日の撮影終了予定時間に合わせて現場へ向かった。 ちょうど朝陽さんの姿が見えたから近付いた ドアを開け朝陽さんの目の前に立った。朝陽さんは戸惑いながら俺を見た 「霞くん…」 「華陵院さん。さっきはすいませんでした」 深く頭を下げた…本当にごめんなさい…怖がらせてごめんなさい… 「うん」 「もうしませんから…これまで通りでいてくれませんか?」 「わかった」 「お詫びにご飯でもどうですか?」 下心なんてない 「ごめん。迎え待ってるから」 朝陽さんに断られた…当然だよね… 挨拶をし戻ろうとしたらもう一台車が近付いてきて朝の人が降りてきた。 近くで見れば思っていた以上の端正な顔立ちとスタイルの持ち主で圧倒された。 最近の人気モデルたちより間違いなくこの人の方がカッコいい。 昼間の人もそうだったけど… この人たちがモデルやったらいいのに… どうでもいいことを思っていた 「朝陽に何の用事?」 柔らかく…でも鋭い視線に後退る 「朝の人」 しまった…つい口にしていた 「は?何でそれを?」 「いや…あの…ていうか華陵院さん他に男いますよ」 俺は何言ってるんだ… …焦っているとその人はとても冷静に答えた 「だから何?」 「だって華陵院さんの彼氏さんでしょ?」 「…そうだけど?」 「じゃあ何でそんな…」 「ちゃんと理由あるからだよ。もういい?朝陽疲れてるから。行くよ。朝陽」 朝陽さんを全面的に信用していて…本当に好きで…俺の思いなんて比べ物にならないんだと…改めて思い知らされた 昼の人とは違う朝陽さんの表情に釘付けになる。お互いがとても大切に思っているんだ… それなのに…俺は… 「うん、じゃあね。霞くん」 笑顔で去っていく朝陽さんに驚いて何も言えなかった…どうしてあんなことをした俺にあんなに優しく笑いかけられるのだろう…

ともだちにシェアしよう!