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あなたに会えたから 9

それからは朝陽さんへの恋愛感情は閉じ込めて尊敬する先輩として接していくことにした それから数日後。先日ゲストルームでみたあの人が歌を出した この人があの相馬星夜でとても凄い人だったとわかり動揺した 名前も顔もわかっていたはずなのにあの時は混乱しててすぐに気づけなかった… そんな人に向かってなんて態度を取ったのだろう… あのときの自分を叱りたくなった そのオーラはすさまじく最近の人気歌手なんて足元にも及ばない…もちろんそれには俺も含まれる こんな人がどうして引退したんだろう…どうして期間限定なんだろう… ずっと歌い続ければいいのに… 「相馬さん」 「何?」 「あの…」 「ん?」 「相馬くーん」 「あっ…ごめん。霞くん。またね」 また謝れなかった…でも怪訝そうな顔してたけどこんな僕の話を聞いてくれようとした… ごめんなさい…相馬さん… 謝れないまま新年会の日を迎えてしまった 遠くで朝陽さんと相馬さんを見つめながらあんなにひどいことをしたのにまだ活動が続けられているということは…二人が誰にも話さなかったということ… 本当ならここにいていいわけないのに…二人の寛大さに涙が溢れそうだ… 「桔梗!」 ふと呼ばれた声に驚き振り返る

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