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あなたに会えたから 10
「久しぶり。夢叶えたね」
「莉音…」
「こんなにおっさんになったのに気付いてくれた。ありがとう」
「おっさんじゃないよ。莉音は今もカッコいい」
「ははっ。ありがとう。でもさ…お前結局…」
「何…?」
「可愛いままだな」
「何だよそれ…少しくらいカッコ良く…」
「このピン…俺があげたやつ…」
「…あ…うん。この道に導いてくれた人の物だから…お守りとして…」
「役立ったかな」
「うん」
「ねぇ。さっき泣きそうな顔してたけど大丈夫?」
「ん。大丈夫…」
「…じゃねぇな…一緒に外出るか。俺ももう仕事終えたし」
「…」
「よーし。いこう!!」
あの頃のように強引に手を引かれ会場を後にした。
運転手がついている車に押し込められて連れていかれた
「あ…あの…莉音…何してる人…ですか?」
あまりのことに思わず敬語になる
「ん?一応社長さん」
「えっ…?えーっ!!」
「五月蝿い…耳元で叫ばないで…」
「ご…ごめんなさい…」
再会してドキドキしっぱなしだ…
莉音はあの頃より大人になってますますカッコ良くなって…でもあの頃と同じように柔らかく笑っている…
忘れたはずの初恋が甦る…そうなんだ…俺は…結局莉音を朝陽さんに重ねてただけ…で…まだ…莉音のこと…
到着したのはかなり大きな家だった
「どうした?」
「いや…あの…」
「あぁ…驚いた?俺も初めてここに来たときは驚いた。まぁまぁ。変な人はいないから安心して」
そういうと俺の手を取り歩き出した
中に入ると数名の使用人らしき人がいた。
「うわぁ…すげぇ…場違いな…」
「大丈夫」
一室に通される。そこは思ったより狭い…とはいえ自分の家より広いことに代わりはないがこの家のでかさからすれば小さく見えた。
「そこ座って。お茶いれるから」
「あの人たちがやってくれるんじゃないの?」
「お茶くらい俺自分で淹れれるし手を煩わせることはないでしょ」
「そんなもん?」
「そんなもんだよ」
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