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あなたに会えたから 11
「で?思いつめたような顔してどうしたの?」
話せば引かれてもう会いたくないなんて言われるかもしれない…そう思ったら中々話せなかった…
「いいにくいことか…わかった。話す気になったら教えて。あ…そうそう。会ったら聞こうと思ってたんだけど桔梗のデビュー曲って俺と母さんのこと?」
聞いてくれていたことが嬉しかった
「そうだよ。俺に夢をくれた人達…何かで返したかった」
「ありがとう。ちゃんと届いたよ」
「良かった…」
「…あの頃のままだな…良かった…」
「え?」
「あの頃のまま…真っ直ぐであったかい」
「でも…俺はもうあの頃の俺じゃないよ…俺…」
「…」
「俺さ…」
朝陽さんにしてしまったことを話した。これでもう2度と莉音には会えない…でも…隠し事をしたままそのままでなんていられなかった…
「そんなことがあったんだね。でもさお前は反省したんでしょ?あの二人ならわかってくれるよ。あの子たちは昔から器が大きいから」
「知ってるの?」
「うん。朝陽くん高校の後輩なんだよね。生徒会で一緒だった。相馬くんは朝陽くんを通して何度かあったことがあるよ」
「…」
「だから必ず話せる時が来るからその時にきっちり謝ったらあの子たちなら笑って許してくれるよ。時間がかかってしまうかもしれないけれど。桔梗が今できることはそのこと忘れずに仕事していくことかもね…ほら…泣かないの…もう…しょうがないな…」
莉音の腕の中が暖かだった…
「落ち着いた?」
「うん…」
「今日はもう遅いし泊まっていきな。明日は仕事?」
「休み…」
「俺も休み。いっしょにどっかいこうか」
「いいの?」
「いいよ」
その日は莉音の用意してくれた部屋で眠った
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